トラベルルールはどこから来たか
銀行の海外送金には、送る人と受け取る人の情報が一緒についていきます。金融活動作業部会(FATF)はこの原則を勧告16として定め、2019年には暗号資産事業者にも同じ義務を課すよう勧告を広げました。情報が送金と一緒に「旅をする」ことから、トラベルルールと呼ばれます。韓国は特定金融取引情報法の施行令にこれを盛り込み、2022年3月25日から暗号資産事業者の間の100万ウォン以上の送付に適用しています。目的は資金洗浄やテロ資金の移動を追跡できるようにすることで、利用者にとっては出金時に入力する情報と確認の手続きが増えたという形で感じられます。
実際にはどう動くか
暗号資産を別の取引所へ出金する時、送る側の取引所は受け取る側の取引所に送金人と受取人の名前やウォレットアドレスといった情報を渡し、受け取る側はその情報が自社の顧客と一致するかを確認してから入金を処理します。こうした情報はブロックチェーンには記録されないため、取引所はトラベルルールの情報をやり取りする別の連携システムを使います。取引所ごとに使うシステムが違い、互いにつながらなかった時期もありました。受け取る側で名前が一致しなかったり情報が届かなかったりすると、入金が保留されたり送り元へ返されたりすることがあります。
- 出金画面で受け取る取引所と受取人の名前を選ぶか入力
- 送る側の取引所が受け取る側へ情報を伝える
- 受け取る側が自社の顧客情報と照合
- 一致しなければ入金保留か返送
100万ウォンという基準
韓国の基準である100万ウォンは、送付する時点の暗号資産の価値をウォンで計算した金額です。同じ数量でも価格が上がれば基準を超えることがあります。100万ウォン未満でも、取引所が独自の方針で送り先の情報を尋ねたり追加の確認を求めたりする場合があり、そのやり方は取引所ごとに違います。基準を避けようと金額を細かく分けて何度も送ると、手数料が増えるだけでなく、取引所の異常取引の監視で疑わしい取引に分類されることがあります。
海外の取引所へ送る時
韓国の取引所は、トラベルルールの情報をやり取りでき監督基準に合う海外事業者にだけ出金を認めることが多く、送れる海外取引所のリストをお知らせで告知しています。リストにない取引所への出金は止まり、このリストは随時変わります。韓国に届け出ていない海外事業者が韓国の利用者向けに営業することは、韓国の法律上問題になりうる点も覚えておく必要があります。海外の取引所から韓国の取引所へ入る時も、受け取る側が送り元を確認するため、対応していないところから送った暗号資産は入金が遅れたり返されたりすることがあります。
個人ウォレットへ送る時
個人ウォレットは事業者ではないので、トラベルルールの情報をやり取りする相手がいません。そのため韓国の取引所は、個人ウォレットへ出金したり個人ウォレットから入金を受けたりする時に、そのアドレスを前もって登録させ、本人のものか確認する手続きを設けていることが多くあります。登録の方法、確認のやり方、登録してから出金できるまでの待ち時間は取引所ごとに違います。初めて使うアドレスなら出金の前に登録を済ませ、ごく少額を先に送って届いたことを確かめるほうが安全です。
送付が止まったり遅れたりするよくあるケース
トラベルルールが原因の問題に、ネットワークの選び間違いのような昔からのミスが重なると、原因を突き止めにくくなります。以下はよくあるケースです。返送される時はネットワーク手数料が改めてかかることがあり、返送そのものができない場合もあるので、最初から正確に入力するのがいちばん安上がりです。
- 受け取る取引所を選び間違えた
- 受取人の名前の表記が登録情報と違う
- 受け取る取引所が出金可能リストにない
- 個人ウォレットのアドレスを登録していない
- トラベルルールとは別に、ネットワークやメモ(タグ)を間違えた
価格差と合わせて見る時
韓国と海外の価格差が開くと、暗号資産を移して差を狙おうとする需要が生まれますが、トラベルルールの確認や取引所ごとの出金可能リスト、入出金停止がその移動を遅らせたり止めたりします。差が簡単に縮まらない理由の一つです。このサイトのキムチプレミアム・レーダーは、韓国のウォン建て取引所と海外の大手取引所の価格をそろえて比べながら、入出金が止まっている銘柄を別に表示するので、価格差の大きい銘柄が実際に移せる状態かどうかも一緒に見られます。画面に見える差が、そのまま得られる利益ではない点も覚えておきましょう。
まとめと注意
トラベルルールは、韓国で100万ウォン以上の暗号資産を別の事業者へ送る時に送金人と受取人の情報を一緒に渡させるルールで、海外取引所や個人ウォレットへの送付には取引所ごとのリストと登録の手続きが加わります。出金できる取引所のリスト、個人ウォレットの登録方法、確認にかかる時間は取引所や時期によって違うので、送る前に各取引所の公式のお知らせを確認してください。この記事は制度を説明したもので、法律相談や投資助言ではありません。
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